シアターブルック インタビュー

独占インタビューPART.4ではシアターブルックの進化についてをお送りします。

ー先程お話に挙がった武道館と、同時にソーラー蓄電池を使用するライブという、バンドにとって変化というより進化があって、”音”と”バンド自身の方向性”の進化があったと解釈しているのですが?

タイジ:そうやな、それはあるわな。

ー周りの環境や自分たちの変化を肯定することで進化したとも言い換えられると思うのですが?

タイジ:そうなんよ。例えば5月にCHABOさんと演ってスゲェ良かったりするわけやん。シアターブルックもどんどん成長してるんだよね。受け入れられる人や場所もどんどん広くなってるのが分かるし。やってみて「あ、これは大変やな」「これは完璧や」ってあるじゃん?色んな人を支ええるだけのバンドになって来て、そうなるとそういう状況でしか出てこない、特殊な落とし穴みたいなのがあるわけ。普通のマネージャーとかじゃムリなことも多いから、こいつ(現マネージャー)と組んだのもデカイよね。

沼澤:よくやってると思うもんね。初めて来たとき絶対続かないって思ったもん(笑)今やおんぶに抱っこっていうか、頼ってるからね。

マネージャー:(笑)

タイジ:ちゃんとシアターブルックに愛情があって、まだこのバンドの特殊な個性の落とし穴を見出さなアカン部分もあるんやけど(笑)彼と一緒にやり出したことは、シアターブルックが調子良い要素の1つやと思う。

沼澤:オレもそう思う。

エマーソン北村:同感。

タイジ:ね。多分、この世代のマネージャーの中で1番優秀やと思うよ。

沼澤:やれてる?大丈夫?

マネージャー:大丈夫です(笑)

タイジ:バンドの成長にマネージャーは重要なんよね。

沼澤:「すいません、他にやることあるんで」っていつ言うかなって思ったけど(笑)

タイジ:冷々することはある(笑)「アイツ、やってくれるかな」って。

エマーソン北村:僕も最初「大変だよ」って言ったもん。

一同:(爆笑)

エマーソン北村:今やね、「大変だけどお願いします」って言ってますけど。

ーチームとしての信頼がバンドの成長や進化に欠かせないということですよね。

タイジ:そう、今それが良い感じになって来てるよね。

沼澤:もう5年やってるもんね。

タイジ:あとはちゃんとこのチームで良い音楽を好きな人にどうやって届けるかっていう。”売れる・売れない”よりも届け方なんやろうな。

エマーソン北村:周りにね。

ー流通云々ではない、別のことですよね。

沼澤:みんなが噂し始めるとかね。例えばこのバンドに5億円出資しますって人がいたとして、街中にシアターブルックのポスターが貼られて売れるわけではないし。”怒髪天”とかは良い例だよね。

タイジ:そうやんね、我々にも希望と可能性があるんよ。それをどう届けるかをみんなでアイディア出して、今までにないやり方を試していかなアカンのよね。

沼澤:CD買わなくても良い時代だし、「SoundCloud」だけで良いっていう若者もいる時代だからね。オレらの時代みたいにレコード屋行って試聴したり、ジャケットがカッコイイから聴いてみたりってしないからね。

ー如何にシアターブルックを自分ゴトとして、インフルエンスしてくれるオーディエンスを増やすことが出来るかが重要なタイミングですよね。

タイジ:そういうことだよね。

ー「フィジカルが買われない」と言われていますが、「CDを売る」ということと「届ける」という値はイコールではないはずで、ライブはいつの時代も変わらないバロメータだと思うんですよね。

タイジ:そう、どういうときもライブはあるからね。

沼澤:ライブにどれだけのお客さんが来てくれるか…「生で観たいな」って思ってくれる人を増やさないといけないし「もう1回観たいな」って思ってくれるライブをしないといけないし。オレたち自身も色んなアーティストやバンドを観て、「もう1回観たい」「2度と観なくていいや」って思うわけだから。こういう職業での勝負はライブだからね。

タイジ:大事なポイントなんよ。

沼澤:楽器を演奏してる側の人間は、それが出来ないと生きていけないからね。この場所(ライブ)でこんな想いが共有出来て、体験が出来るよっていうね。

ー特にシアターブルックは”ソーラー蓄電池”で良い音でライブをしているんですから、これは声を大にして言いたいです。

タイジ:結局、そういうことなんだよね。もうな、他のバンドもソーラーでレコーディングしたって噂も聞くし、統一規格をプレゼンすべきやな。

ー”ソーラーマーク”をシアターブルックで作ってみます?

タイジ:そういうのあったらな。

沼澤:言い方悪いけど”流行りモノ”になった方が良いんですよ。

タイジ:流行って悪いことないもんな。色んな人やれば良いのにって思うんやけど、中々そうならない。

沼澤:自分たちも政治家や活動家でもないけど、単純にソーラーエネルギーの音が良いだけなんだけどね。”TRICERATOPS”の連中は無条件に賛同してくれてっていうバンドもいるしね。

タイジ:音楽業界で意見とかシェアできるヤツいっぱいおるんやけど、一般的なニュースを見たとき、全然そんなノリがないから音楽業界がおかしいのかって思うけど、多分そんなことはないはずやし。音楽の人が自由な物言いをリードする立場で、それはどの時代もそうやったはず。音楽や芸術をやってる人が自由な物言いをしないと他はしないからね。

ーこんなにもアイデンティティが全面に出せる活動はないですよね。

タイジ:単純やからね。

沼澤:「わかりやすいでしょ」って思うんだけどな。

ー冒頭で”個性”による好き・嫌いがあって、それを受け入れる・受け入れないの話とは全然別ですしね。

沼澤:受け入れない理由が分からないよね。

タイジ:受け入れて欲しいからええもん作るしかないんやけどな。

ー現在「もう一度世界を変えるのさ」をレコーディングするにあたり、スタジオで消費する電力を太陽光発電で行うという初の試みの真っ最中なわけですが。

タイジ:レコーディングは初なんよ。

ーこれまでのライブでは、何度も使用されたソーラー蓄電池ですが改めて音の違いを伺わせて下さい。

タイジ:やっぱり最初のリハが衝撃的やったよ。

沼澤:電池で演奏したらどれだけ電気を消費するかってときだね。武道館が本番だったからね。

タイジ:武道館で電池が足りんくなったらヤバイから「ロックバンド、シアターブルックの消費電池量は?」みたいな実験をやってみたときに、繋いでギター鳴らしたときに「全然音良いじゃないすか、何スかコレ」って。あれは超革命的な瞬間やったと思うよ。

沼澤:みんないつもと同じアンプと楽器を使ってるのにね。オレは関係ないんだけど(笑)

一同:(爆笑)

沼澤:みんなの様子を見てたら大騒ぎになってて。

エマーソン北村:ギターとベースは、電気のパワーとピックアップで音を作ってるので如実でしたよね。

タイジ:レンジが広くなってるんだよね。

エマーソン北村:音量が小さくてテンポが遅いと、電池の減りが少ないとかね。

沼澤:激しい曲だと逆で、多く減ったりしてみんなで「へぇー」って。実際にそのあと演った武道館はいつもと違う雰囲気だったのね。いつ電池が切れるかわからない状態で蓄電池が並んでて、自分たちもそうだし、他の出演者・スタッフも”このライブを成功させよう”っていう雰囲気が伝わって来てたよね。

ーオーディエンスも含め志しが一緒だった空間があの武道館だったんですよね。

タイジ:そういうことやな。

沼澤:自分が出演してない場面はステージ以外で観てたんだけど、タイジくんが「このままいけそうです」って言ったときの客席側は、お客さんというよりこのプロジェクトを一緒に作り上げてる集まりっていう感じがしたよね。そのあとの去年やった中津川は感動的で。野外で太陽が昇ってる下で出演者みんなが「これ(太陽)で音が鳴ってる」ってことを言ってくれてて。

タイジ:フェスによっては、我々がソーラー持っていくんやけど、そこまで打ち出せないこととかがあるんよね。中津川に関してはそれを全面に押し出してるから、出演者もオーディエンスもそれについては能動的やよね。「自分がそれを肯定しているからここにいるのだ」っていうのがすごく伝わるし、みんなのモチベーションがすごくクリアなわけ。あそこには確かに”日本の新しい繋がり”っていうのがあるんよね。

ー出演者の方もオーディエンスも、そこで得たものをまた持ち帰って発していくことが先程のお話にあった”届ける”であったり”広がり”になっていくんだと思います。

沼澤:そうだよね。地元の人も、これに携わりたくて集まったボランティアの人からも伝わってきたよね。

ー美しいですよね。

タイジ:美しいんですよ。だから流行った方が良いんですよ。

ー今年で2回目となる中津川 THE SOLAR BUDOKANの開催が決まっていますが、どういった進化を今年は観せられるか少しだけ教えて欲しいです。

タイジ:ステージのレイアウトを変えて、去年より大きくなるんすよ。今年はデコチーム…強力なお兄さんに頼んであって、さらに楽しい感じになるのは間違いないな。

沼澤:今年のはね、みんな観に来た方が良いっすよ(笑)

タイジ:やっぱ体験しないとね。

沼澤:演奏に関して言うと、去年出て頂いた人も新しく出てくれる人もウチらに賛同してくれているのは間違いないんで、「去年の方が良かった」とかそういう次元ではないクオリティで打ち出せると思います。

タイジ:細かい話でいうと、ソーラーパネルで充電しながら放電出来るやつと出来ないやつがあるらしいの。

沼澤:それって使いながら充電するってこと?

タイジ:そうそう。その辺の規格も統一していったら、クオリティも上がっていくはずなんよね。

沼澤:需要が増えるとそうなるよね。家庭でも使用される日が近づいていくわけだからね。

タイジ:やっぱり技術ってホンマに使う最前線のトコで進化していって、進化することで省エネに繋がっていくわけやからな。技術革新が目の前で起こってると思うんよね。

沼澤:ミュージシャンが演奏するときに、エフェクターくらいの携帯感でソーラーの電気が使われるのを自分が死ぬ前に見たいよね。「エフェクターは太陽電池でやってるんだよね」っていう1歩があったら良いよね。

ーテキ屋の発電機も代替できますよね。

タイジ:ソーラーお好み焼きな(笑)ニーズはあるよね。

沼澤:時間掛かるかもしれないけど、小さいところから始めればね。

ーシアターブルックは音楽での言い出しっぺなので、その進化の過程をライブや中津川 THE SOLAR BUDOKANを通して、是非観て欲しいですよね。

タイジ:そうや。またこのバンド上手いから(笑)心配なのが良過ぎるっていうか…昔から聞かない?レコード会社のディレクターとかから「もうちょっとダサくして下さい」みたいな。

エマーソン北村:言われたことある(笑)

タイジ:あるやろ?

沼澤:もうちょっとヘタな感じでとかね(笑)

タイジ:「ちょっとヘボいくらいがちょうど良いんです」って言うわけ。みんなのことをバカにしてるヤツがリーダーシップ取ってる場合があるんすよ。

一同:(苦笑)

ー振り切れた方がカッコイイのに、世の中の「まぁまぁ」が安牌だと思ってる節ありますよね。

沼澤:そうしないと親近感がないんじゃない?

タイジ:親近感とかもうムリでしょ(笑)

沼澤:タイジくんと一緒に演奏すると、自分がカッコ悪いからって敬遠する人いるからね(笑)

ー逆に言えばこのメンバーでないと張り合えないし、個性のぶつかり合いがシアターブルックの音楽を生み出せていて、さらに唯一無二な存在だから肯定する活動に、賛同するミュージシャンやオーディエンスがついてくるんだと思います。

タイジ:そうやな、今年の中津川はダサくない(笑)そういう圧倒的な進化が観れると思うよ。


取材:2014.05.21
撮影:Eri Shibata
インタビュー・テキスト:Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330

 

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