TOSHI-LOW(BRAHMAN)インタビュー

ー2010年から始められた「NEW ACOUSTIC CAMP」の”ゆったりとした”空間は、今ある日本のロックフェスでは得られない体験ですよね。

あれ、楽しくない?

ー楽しいです!これは、活字にする前に行って感じて欲しいです。

(笑)もうね、これ以上人が増えないで欲しいもん。すんげぇ楽しいから。

ー出演アーティストの方に失礼かもしれないですけど、寝そべりながら聴こえてくるあの心地よさが堪らないです。

いやいや、もう狙い通りだから。従来のフェスみたいにさ、「これ見てこれ見て…これ見てこれ見て」ってあっち行ったりこっち行ったりするんじゃなくて、もうちょっとゆったりとね。けどハードコアキャンプみたいになってあまりにも山奥になってくると、今度キャンプが大変じゃん?

ー(笑)そうですね。

うん、そこはある程度だから。

ー楽しみ方が違うだけで、あれはあれで楽しいですけどね(笑)

勿論、勿論。そういう人達はね。でもそれは、キャンプじゃん。オレらはそのキャンプにBGMつけたいんだよ。キャンプに生演奏がついてる部分でいうと、今ぐらいの形がけっこう理想的になってくるのかなと思う。

ー朝、みんなで体操とかして…

あのゆるさは堪らないよね。しかも、みんな夜中まで起きてたりすっからさ。意外に飲みつぶれてるヤツとかもいるし。

ーそうですね(笑)元々、こういった構想を描かれていたんですか?

あれ、1番初めにやりたいって言ったのオレじゃないんだよね。こういうフェスをやってみたいって言うスタッフがいて。それで、こういうことやるんだったら、「こうしよう」「ああしよう」って言ったのはオレなのね。基本的にフェスっていう名の「ルールがんじがらめ」をつけずに、来る人達の自主性でマナーが守られるっていう。だからルールじゃなくてマナーを守れば、本当は別に何も大変なことなんか起こるわけないじゃない?けど、みんなルールばっかり主張したり、自分の権利ばっかり主張したりするから、「前の人の髪の毛が目に入った。縛れ。」とかね…

ーモッシュもダイブもそうでしょうし。

モッシュとダイブを禁止するフェス…あるね(笑)でもさ、元々その手の音楽を知らないヤツらが見るっておかしい話であって。知らねぇのに場所取りしてたの?とかさ。

ー(笑)いますね…

力もねぇのに、押されたら倒れてしまうようなヤツが前に来る必要ないわけであって。でも「NEW ACOUSTIC CAMP」に関しては、そういう音楽じゃないから。もうちょっとゆっくり楽しめるっつうか。「家族でも楽しめる」とかだから。そこはすごい話したんだよね。

ー来場される方のモラルによって成立させるというのは、もしかしたらフェス云々以前に、そもそも自然の中で当たり前ですもんね。

そう、そもそもだから。本当はできれば1日券なんか出したくない。何故なら、やっぱキャンプをやるっていうハードルをしっかり越えてくる人達が来ることによって、マナーが保たれる。勿論、あまりにもハメ外し過ぎるのも良くないと思ってるし、キャンプはキャンプで、いろいろ問題があるっていうのも分かってるよ。けれども、なんとか「これやったら退場して下さい」っていう文を書かせないで済むようなフェスになったらいいなとは思っていて。

ーあぁ…運営側としたら嫌な話かもしれないですが、その為には人数を制限という選択も出てくるかもしれないですね。

オレもね、あそこでやってる分、限界はあると思う。例えば、何万人でも出来ますみたいなものではないと思ってるし、そんな欲張り方はしてないんだよね。だから出来るだけ、そういう人達が来てくれていいし、そうじゃない人は、来ないで下さいっていう。ただただ自分勝手に来て「楽しませろ!」とか言うヤツは、もうはじめから来ないで欲しいし、帰って欲しい。来てもオレが帰すしね(笑)

ーそれこそ是非、「BRAHMAN」のライブ来て下さいっていう(笑)

そんな奴BRAHMANでも嫌だけど(笑)まあライブハウスとは違うからね。

ーこれまで続けられて、TOSHI-LOWさんが思い描いてた通りに近づいていらしゃるのでしょうか?

いやいや大変だよ、っつうかまず認知。今でも認知してもらってるかどうかわかんないけど、全く知名度のないものから作んなきゃいけないし、例えばセキュリティ云々とか、「責任問題とかどうすんだ?」っていうことに関しても、ちゃんと折り合いつけていく。「来る人、ひとりひとりが責任持って下さい」っていう風に言い切る為に、自分達もどうしていくかっていう。でね、当たり前だけどこれを言ったことによって、わざと邪魔してくるようなヤツもいるだろうし、いろんなヤツが出てくるだろうから。そしたら来年はね、オレ1人の警備じゃなくて(笑)自衛団を増やさなきゃいけないかなぁとか思ったり。そうなってくるとやっぱり、大きなフェスに出来ないんだよね。でも、もし仲間になれるんだったらケチ臭えことは言わねぇよ、たくさん来て欲しい。但し、あれに関しては自分達の自主性を大事にそこに持ってこれる人・自主的に楽しむっていうことができる人達じゃないと。
そして身を守ったり、自分のことは自分で出来るっていう人達だけ来て欲しいな。あの2日間は本当夢みたいだもん、楽しいもん。

ーそうですね、自然と隣でキャンプしてる人にバーベキューで「お肉食べなよ」みたいにシェアしたり。

なるよね。

ー例えばFUJI ROCKでは…とは言わないですけど、あの雰囲気の中でゆったりした時間の流れがある空間は、なかなか他のフェスでは得られないですよね。鳴ってる音楽がゆったりだから云々ではなくて。勿論、雰囲気に合っているアーティストの方々、雰囲気に合った楽曲があるんですけど。

そうだよね、なんかアーティストは誰でもいいよとか思うもん(笑)いや、それでいいのよ。ただ、こん中でこの人見られたらすごい最高だなっていうアーティストが何組か、来る人達の間であればいいなとは思ってるけど。それがさ、「今、東京ドームを埋められます」「埼玉スーパーアリーナでやれます」みたいな人達をいっぱい頑張って呼ぼうとかじゃなくていいから。でも、そういう人達がパッとアコースティックでやってくれるかも知れないしね。そういう面白さもあるよね。

ーそれは期待してます(笑)最初はアーティスト軸かもしれないですけど、2回目以降はあの時間を味わいたくてになりますよね?

リピーターがすげぇ多くて。

ーっていうところが「NEW ACOUSTIC CAMP」の素晴らしさだと思います。

でもさ、それを作ってるのはオレじゃないんだよね。みんななんだよね。リピーターさん達で、オレに「ありがとう」とか言ってくれる人がたまにいるけど、いやいや全然違うからね。あなたに「ありがとう」だから。その1人なんだよっていうこと。みんながそれを思えるようにやれば、何も2mの黒人のセキュリティーとかいらねぇし。

ー(笑)そうですね。

「show me pass!」とかそんなのさ、いらねぇって思うわけ。そうすれば小競り合いも少ないだろうし、さっきの「肉食え」ってことになれば、隣がちょっと騒いでることとかも許せるだろうし。
その騒いでる人達も、ちょっと静かにしようかなって思うことも出来る。それって平和の始まりじゃん?一生そこに住まなくちゃいけなくなったら、そりゃ揉めことも起こるだろうけど(笑)たったの2日間…まあ、1日半だよね、色んなことを自分達がちょっと気を配って、持ち帰ればさ。また実生活に戻った時に、例えばマンションで上の人が「ドンドンドン」って歩いてるのもさ、下がつつき返すみたいなの、しなくなるんじゃねぇかなと思うんだよ。「あ、上も子供がいるからしょうがねぇかな」とかさ。そうなるといいなと思う。

ーモラル意識の高いフェスティバル、簡単ではないですけど先程おっしゃっていた「作るのはあなた」ということに通じるんですよね。

あれは来てる人みんなのフェスだよね。キレイごとっつうか、そういう風に言うフェスのオーガナイザーみたいな人いるけど「でもがんじがらめじゃないですか?」って思うの。「ここ、こうして、こうして…」みたいな。全部ね、ちょっとはみ出たら怒られたり、誘導の人達がいっぱいいたりさ。

ーまた彼らも文句を言われて…

そう、もうみんなから働かされてさ。

ーそれがないっていうこと自体が結構新鮮だったんですよね。

だから逆に言えば毎回不備もあるんだと思う。不備っつうかさ…ちょっとトイレが少なかったなとかさ。でも、それもやってみなきゃわかんないし。「こんぐらい入れたから、こうなったんだな」っていうことも今も試し試しだから。そういうのもあって大きくできるもんじゃないかなとも思ってるけど、ただ「身内だけの秘密のキャンプです!」とかもやだし。楽しさって分け与えたいじゃん。やっぱ彼女と2人でね。でも、もう一組のカップルと行ったらさ、多分倍楽しい…倍っつうか4倍楽しい?みたいな。

ーですね、さらに隣の知らない人とも交流が生まれる場所ですから。トイレのお話が先程ありましたが、友達の子供なんですけど、「子供だから」っていうことでオーガニックでさせがちですけど、それは良くないとちゃんと並ばせて行った話を聞きました。

あら!意識が高いですね、素晴らしい。

ーっていうのをさせてくれる場所なんんだなと。本来、カッコ悪いですけどね、ちょっと悪ぶって人と外れたことやモラルに反することは。昔、僕はそういうのを調子に乗ってしまい、人と違うからカッコ良いと勘違いしてやっちゃったんですけど、「NEW ACOUSTIC CAMP」では特に皆無だなと。

そんなんオレなんかもう何万てあるよ(笑)マジで。叩けば多分…叩かなくたって出てくるもん。ゴロゴロゴロゴロ…

ー(笑)載せられない気がします。

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