☆Taku Takahashi(m-flo/block.fm)インタビュー

多くの人気DJが番組を持ち、様々な角度からダンスミュージックの魅力を伝えるインターネットラジオblock.fm。その主催であり、自らもいくつもの番組を手掛けている☆Taku Takahashiが、立ち上げにまつわる貴重な話から今後の展望について語る。新たなコンテンツの導入、インターネットラジオの可能性に挑戦し続けているblock.fm。音楽メディアが向かう先にあるものは?

ー☆Takuさんが主催されているインターネットラジオblock.fmについてお聞かせ下さい。
まず、スタートされたのはいつですか?

2008年にMyspaceで始めて、その後TCY Radio Tokyoとしてやっていたのを『11.11.11 PM 11:11:11』に『block.fm』と名前を変えてスタートしました。

ーblock.fmとしての決まりなどはありますか?

これは、立ち上げ当初から言っている事なんですが、運営方針として、ひとつだけルールがあってレコード会社からのスポンサードは受けない方針をとっています。レコード会社をスポンサードに入れてしまうと、レコード会社側からのバイアスがかかってしまう。場合によっては納得いかないアーティストの曲を流さなきゃいけなくなったりする可能性がありますよね。block.fmは、音楽を愛してやまないリスナーのためのものであって、そこの信頼関係は何よりも大事。勿論、レコード会社側からゴリ押しされたアーティスト全てが悪いわけではないのですが、僕らとしては、番組それぞれのクオリティを守る義務があるので、最初にこの指針をとる事を決定しました。

ーこれまでのメディアになかった素晴らしい考えですね。☆Takuさんご自身で立ち上げようと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

これはすごく大事なことなんですけど、僕がblock.fmを始める少し前に、日本でダンスミュージックを紹介できるメディアがなくなっちゃったんです。3年前にblock.fmを始めた頃、ローカル局を抜かすと、東京全体のFM局でおそらく1番組しかなかったと思います。最近になって、ようやく少しずつ増えてきたとは思いますけど。前にも話しましたが、アメリカやヨーロッパを中心に世界規模でダンスミュージックというものがきちんとビジネスとして成り立っています。近年でシーンもどんどん広がっているし、次々と新しくておもしろい音楽が生まれていて、アーティストにとってもいろんなチャンスが生まれてる。そんな状況の中、日本にはダンスミュージックに特化したメディアがなく、アーティストが活躍出来る機会がないというのはすごく問題だと思ったんです。せっかく良いものを作っていたとしてもそれを発表する場がなければ広がっていかないのから、チャンスを少しでも作ろうという思いで、block.fmを立ち上げることにしました。

ー確かにダンスミュージックに特化したメディアは、テレビやラジオなどをはじめ、マスメディアにおいてものすごく少数ですよね。block.fmはインターネットラジオですが、今の時代に合わせたメディア選択だったのでしょうか?

願わくは、FM局で帯の番組を持てれば良かったのですが、やはりスポンサーの問題など、非常に難しいんですよね。だったら、自分で出来る海賊ラジオから始めようと思って始めたんです。最初は☆Taku Takahashiという名前も伏せて始めました。でも、やっぱり自分1人でやっていても広がらないってことが分かりました。そこで、僕が仕事やプライベートで関わっているDJやアーティストの方々を中心にお声掛けをして、ダンスミュージックを主軸としたいろいろな番組を作らせてもらいました。現状、国内だけでなく海外のアーティストもいますし、ジャンルもテクノ、ハウス、HIPHOP、レゲエなど様々です。block.fmを通してダンスミュージックを広げていくには、いろんな音楽・ジャンル・人々と一緒にやっていくことが大事だと再認識しましたね。おかげで今となっては、月50種類以上もの番組がblock.fmから生まれています。

ーテクノ、ハウス、ヒップホップ、ダブステップ、EDM等、本当に多くのアーティストの方の番組がありますよね。月に50以上もの番組がある中で、生放送の番組が多い印象を受けるのですが、ここへの拘りはあるのでしょうか??

特に生放送には拘っていません。収録をしたものを編集して、放送している番組もあります。また、ほとんどの番組が放送したものを翌日アーカイブとして配信しており、いつでも聴ける状態になっています。生放送や収録、アーカイブの有無は番組を持たれている方々、それぞれの意向で決めています。もちろん生放送は生放送で、ライブパフォーマンス的要素として、オーディエンスと同じ時間を共有出来るという良さもありますし、TwitterなどのSNSを通じたユーザーからのダイレクトな意見が、インタラクティブに番組の方向性を変えたりする面白さもあると思うんです。block.fmのサイトに設置してある「Hooooo!」ボタンなど、リスナーが手軽に参加して楽しめるアイディアだと思い、最初から取入れ、今でもblock.fmの名物となっています。

ー確かにインターネットラジオの楽しみ方として、アクセスできる端末があればラジオを聴きながら同時にSNSに書き込めて、好きなアーティストやMCと同じ時間を共有出来るという満足感が得れますよね。生放送以外での収録番組としての面白さも教えて下さい。

例えば、僕と、『カウボーイビバップ』や『交響詩篇エウレカセブン』などのアニメ脚本家の佐藤大さん、声優の名塚佳織さんと三人でやらせて頂いている「don’t_blink」という番組があるんですが、これは完全編集です。後から編集することが分かっているので、生放送の場合は絶対気にしないといけない放送禁止事項など全く気にせず話せるので、とても勢いのあるトークが生まれるんですよね。 もちろん、後からダメなところは削って、編集して放送出来る状態になってからオンエアしますが、そこから出来るダイナミズムはものすごくおもしろいものがあるんですよね。

ーラジオもテレビ同様に生放送の場合、MCの方が言葉を選んで話さないといけなかったり、NGを出してしまう可能性もありますもんね。それが生のおもしろさであるのかもしれないですけど、個人的には「don’t_blink」の収録現場に潜入して、炸裂したトークを聴いてみたいです(笑)

生放送も収録した番組もそれぞれ一長一短だと思います。そういった、いろんな番組があるのがblock.fmの特徴なんです。音楽だけを流す番組や、トークを中心とした番組、音楽にジャンルも多岐に渡り、EDMからテクノ、ヒップホップなどなど様々な番組があります。

ーblock.fmの特徴の1つとして、同じ時間を共有する以外にアーカイブでの楽しみ方もありますね。

生放送でも編集された放送であっても、放送時間になり、初出しでストリーミングされることは変わりはなく、みんなが同じタイミングで聴いて共有したいという拘りはあります。でも、放送時間のみ限定して聴けるだけじゃなく、後からもアーカイブとして聴けるようにしました。それはなぜかというと、3年前ぐらいまでは、Twitterが広がったことによって”みんなで今を共有すること”がすごく重要視されていましたが、現在はオーディエンスが個々に自分の好きな時間で、みんなとも共有出来て、自由に音楽を聴ける環境というものに需要が高まってきていると思っています。

ー各個人の生活サイクルがある中、生放送では聴けない人も必ず出てきてしまう分、アーカイブ放送があるというのは、聴き逃してしまった人にはとても嬉しいシステムですよね。

さらにアーカイブ放送を聴いて下さるオーディエンスでも、タイムラインに沿ってその時、みんなが書き込んだSNSの閲覧が出来て、違う時間軸の人の会話を楽しみながら、リアルタイムに聴いているのと同じように楽しめるシステムを取り入れていこうと考えています。

ー今年の1月にリニューアルされたのはそういった楽しみを増やす布石だったのでしょうか?

実際のところ、現在はまだリニューアルβ版といった状態です。やりたいことが多過ぎて、すべてのタスクをまだクリアー出来ていないのでβ版としている状態なんです。ですが、ここから一気にリニューアルしていく予定です。

ー具体的なアイデアはすでにお持ちなんですか?

block.fmのユーザーの60%以上が、スマートフォンユーザーなんです。多くを占めるスマートフォンユーザーに使い易くなってもらいたいので、ひょっとしたら、ホームページより先に、スマートフォン用のアプリがローンチされるかもしれないです。これはまだどこにも発表してないことなんですけど…(笑)コンテンツのリニューアルとしては、先ほど言った過去のSNSとの連動もそうですが、あとはダンスミュージック関連のニュースをテキストで読める形にしていきたいと思ってます。スマートフォン用のアプリで、ダンスミュージックに関する最新のニュース、リアルタイムと同じように書き込まれた過去のSNSを閲覧しながら、通勤しているときや帰宅中にblock.fmを聴けるようにする。そういった状況を目指して制作を進めています。今まで技術的に難しく、Android端末ではblock.fmを聴けない機種がありましたが、技術的に追いついてきたのでiPhoneだけでなく、Androidでも使用出来るようになると思います。

★block.fmについて
「日本最⼤級、唯⼀無⼆のインターネット・サウンド・メディア」
block.fmとは日本のトップDJ、世界を舞台に活躍する海外勢、さらにこれからのシーンを担うDJ達がレギュラー番組を持つインターネットラジオです。生放送でのインタビューや、どこよりも早い新譜情報のほか、DJミックスやチャート番組、そしてパーティー情報の紹介など多種多様。現場のリアリティある音楽が最近のメディアでかかる機会が少ない中、トップDJたちのセンス、そして海外のクリエイターやプロモーターから直接新譜を送ってもらう事によって、常にカッティングエッジな音楽や情報をどこよりも早くリスナーに届けます。block.fmは、m-floの☆Taku Takahashiを発起⼈として、日本の音楽業界に大きな影響力を誇るトップDJ・クリエイターらの賛同によって⽣まれました。⾳楽のみならず、映像や写真、アニメーションやカルチャーなど、多種多様なジャンルそれぞれに大きな影響⼒を持つ、国内外のトップクリエイターがレギュラー番組を展開しています。
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