大反響を呼んだ『ゲット・アウト』(17)、『アス』(19)のプロデューサー、ショーン・マッキトリックが新たに放つパラドックス・スリラーが『アンテベラム』という邦題で2021年秋にTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開することが決定、何気ないシーンに違和感溢れる本編を解禁した。
この度解禁されたのは、公私共に順風満帆の日々を送っていた主人公ヴェロニカ(ジャネール・モネイ)が、滞在しているホテルのフロントでレストランの予約を取ろうとする何気ないシーン。そこで友人と再会して会話を交わし、白人女性のフロント係にレストランの予約をお願いするというもの。ありふれた日常のワンシーンのはずなのだが、何かがおかしい。この違和感は『ゲット・アウト』や『アス』で感じたそれに近しい。しかも各ショットやセリフには本作のパラドックスをひも解くヒントが散りばめられている…!?
仕事で訪れたニューオーリンズで滞在しているホテルの部屋を出ようとしたとき、ヴェロニカはボーイから花束を受け取る。その花束には送り主の名前に「X」と記されているだけで、「帰郷を待っています」という謎のメッセージが添えられていた。「X」とは一体誰なのか?そして、帰郷とはどういう意味なのか?そんな彼女が宿泊している部屋の名前は、第3代アメリカ合衆国大統領トーマス・ジェファーソンの名前が冠された「JEFFERSON SUITE」。黒人奴隷制度に反対の意を表していたことでも知られている大統領に由来する部屋が登場するのも何らかのメッセージなのだろうか…?
レストランの予約をフロント係に頼もうとしたヴェロニカは、ふいに肩を叩かれる。友人のサラである。謎の花束でナーバスになっていたヴェロニカは驚くものの、久しぶりの再会を喜ぶ。だがその後に交わすお互いの会話には「無意識なる過去を祓う」「過去は決して死なない」「過ぎ去りもしない」「先祖は夢に取り憑いて生き続ける」「未解決の過去は現在に害をなす」などと意味深な言葉が連なる。まるで何かよからぬ出来事を暗示しているかのようだ。
サラと別れたヴェロニカは、フロント係の白人女性にレストランの予約を申し込む。だが彼女は穏やかに微笑みながらも、ヴェロニカを待たせたまま、かかってきた電話応対を始めてしまう。それが黒人女性であるヴェロニカに対して相応しい態度であるかのように。彼女の背後の壁に飾られているのは、白亜の屋敷が描かれた油絵。それは謎の女性とともに切り取られた場面写真の邸宅に似ている…。
本作の冒頭に引用されるのは、20世紀アメリカ文学の巨匠ウィリアム・フォークナーの小説『尼僧への鎮魂歌』に記された「過去は死なない 過ぎ去りさえしないのだ」という有名な一節。ヴェロニカとサラの会話にも印象的に出てくる言葉。それが意味するものとは?全編に散りばめられたヒントがすべて繋がった時に浮かび上がる衝撃を体感せよ!
アンテベラム
出演:ジャネール・モネイ、エリック・ラング、ジェナ・マローン、ジャック・ヒューストン、カーシー・クレモンズ、ガボレイ・シディベ
脚本・監督:ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツ
原題:ANTEBELLUM/2020年/アメリカ/英語/106分/カラー/スコープ/5.1ch/
日本語字幕:大西公子
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ ©2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:antebellum-movie.jp
公式Twitter:@antebellum_jp #アンテベラム