THE STARBEMS インタビュー

ーちょうど昨日、金沢VANVAN V4でライブを終えられましたが、新曲も演奏されたのですか?

日高 央(以下:日高):これまでも、アルバムからの新曲を3曲くらい演っていたんですけど、前から観に来てくれている常連(ファン)曰く、「レコーディングを経たら、音が完成しましたね」なんて言われましたね(笑)

越川 和磨(以下:越川):(笑)

日高:「プロデューサーか!スタッフか!」っていうくらい上から言って頂けて(笑)「Vanishing City」「Sweet Nothing Blues」「Everybody Needs Somebody」がそうなんですけど、結果的に良かったのかなと。

ーサポートベーシストとして山下 潤一郎(ex-ASPARAGUS/ex-ナイスマーブルス)さんを迎えられましたが、ライブ、レコーディングを通しての感触はいかがですか?

日高:元々、前のベースだった寺尾(純平)は”はっぴいえんど”好きな、横ノリのベーシストだったんです。逆にオレは、年齢を重ねる程BPMを上げたいし(笑)、縦ノリを突き詰めたいという互いのズレが、今年の初めからあって。半年くらい話し合いをしながら、アイツなりに先輩ベーシストに相談もしてて。例えば「KEN BAND」のJUN GRAYさん、「VOLA & THE ORIENTAL MACHINE」の有江 嘉典くん、今回サポートしてくれてる潤もそうだし。

ーバンドとの方向性を模索されていたんですね。

日高:その中で最終的に皆さんが仰るのは”気合と基礎練”だったんですよね。気合はあるけど(笑)、やっぱ基礎練は1、2週間で何とかなるものでもないから。じゃあ、「バンドと距離を置いて、客観的にベーシストとして考え直してみる」という結論で、喧嘩別れとかではない、今回の脱退だったんです。そして潤は元々Steve Vaiとかが大好きなんで、縦ノリ・横ノリ何でもいけるから、バンドとしてはやりやすいですよね。

越川:僕は”音”の前に”人”だと思うから、人としてのコミュニケーションを取ってからなんですけど、中々パンチの効いた人で(笑)

日高:人生のBPMが早いんで。

越川:色んなことが斜め上っていう(笑)勉強させてもらってますけど、ものすごくスピリチュアルな方です。違和感がないと言うと嘘になるけど、ここ最近で人としても音のグルーヴとしても合って来てますね。

ーバンドとしての変化を経て、前作「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」「ULTRA RENEGADES E.P.」からの進化が今作で著しく見られますが、レコーディングはどのように進められたのですか?

日高:まずベースが変わったことで、潤に「機材も変えてくれ」とオーダーしました。アイツは元々ESPのアクティブ・ベースを持ってて、スピーカーは「AMPEG」だったんですけど、「Slipknot」と同じ「TC Electronic」にしてもらって。これまでのベース音が”下から2、3段目”にあったとしたら、更に1、2段下がって、ドラムのキックよりも下になったんです。だから、ギターの音も必然的に下がりましたし、これまでとの音と違うポイントになったと思いますね。

越川:始めの3、4曲は「AMPEG」で録ってたのを、日高さんの指示で「TC Electronic」で録り直したら別モノになっちゃって(笑)そこからギターも録り直しをするという、面倒臭いことになっちゃった。「Let Lights Shine」「Pitfalls」は前のバージョンで行く予定だったんですけど、音が違い過ぎたんですよね。もちろん、アメリカで録音したバージョンも気に入ってるんですけど、自分たちの機材を全て持って行けなかったフラストレーションもあったんで、タイトなスケジュールでしたけど、それも録り直すことにしましたね。

ーそのタイトな状況で、「VANISHING CITY」に収められた原曲は、全て日高さんから持ち寄られたんですか?

日高:いつもワンコーラス程の原曲を作って、みんなに送って構成して行くんだけど、ロッキンの翌日に”寺尾さん脱退”があって、それがレコーディングの3週間前で。

ータイトですね…

越川:ヤバかったですよ(笑)

日高:潤にサポートをお願いするのは決まっていたけど、レコーディングを延期するか否かをみんなで話し合いましたね。ただ、ベースが交代する中でレコーディングも延期になると、バンドが停滞している感じに思えたし、良くないなと。「じゃあ、強行突破でレコーディングしましょう」という結論に至ったんです。まぁ最悪、オレと西くんが弾いちゃえば良いやって(笑)

越川:そんなノリでしたね。

日高:結果、そのタイトさがバンドのケツを叩くことに繋がってうまくいったんで良かったです(笑)

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