「TOUR 2014 BEFORE THE NEXT SLEEP VOL.1『夢は鞭』」 人時 ステージ機材レポート

-「いかに歌い易い環境をどこまで作り出せるか」を意識している

ーMarkbassのMoMarkはいつから使用されているんですか?

去年の末くらいからですね。

ー「黒と影 2014.1.29 Live at 日本武道館」では既に?

使っていました。今のツアーはライブハウス中心ですけど、音量を変えるくらいで、そこまで大きく構成も変えていないです。

ー例えば、場所によってモジュールの調整をされるくらいでしょうか?

テックの人と相談しながらですけど、モジュールに限らず、調整という部分においては、”会場の鳴り”を気をつけていますね。外向け(会場)の音で言えば、ベースだとアンプ音か、ライン音かで変わりますし、ライブハウスだとラインが多いのでPAさんにお任せしています。ステージ上にいる僕らは、「自分だけが演奏しやすい」という考えでは、結局ステージの音の環境が良くならないし、良い演奏に繋がらないんです。なので、「音量も含めた音のバランス・出力」「ドラムとのマッチング」「音の回り込み」は気をつけていますね。特にベースは、どうしても低音を出し過ぎちゃうんですけど、それは極力やらないようにしています。それこそ、会場によっては「低音が下手したら少ないんじゃないか?」くらいな状態に作る場合もありますしね。今回のツアーはスピーカーを2発と4発で積んでますけど、会場によっては2発しか鳴らさなかったりと、結構臨機応変に対応しています。

ー今回のバンド編成で言えば、KAZさんのギターもラウド寄りの音像がありますが、バンド全体でのバランスについてを人時さん含め、互いにバランスを取っていると?

「お互いの音像を殺し合わないように」というのを気をつけてますね。あとは、僕もKAZさんもセンターに立った清さんが音を聴いて歌うわけだから、「いかに歌い易い環境をどこまで作り出せるか」を意識しています。場所によっては、例えば小さいハコだと生音で勝負することになるから、自分が出したい音だけに拘っちゃうと良い方向に行かなかった経験もしてきましたし。
ソロで”自分のベースの音だけ聴いてれば良い”ってことなら、そういうフォーマットで良いんだろうけど(笑)あくまで”歌を聴かせたい””声を聴かせたい”と考えれば、バランスを取るということは、清さんを中心とした演奏の表現になりますね。さっき話した”会場の鳴り”を気をつけることはそこにありますし、それを踏まえたEQの仕方等を含めて調節するので、意外と対応能力は高い方だと思います(笑)

-理想は佐久間さんの弾いたプレベの音

ーベース自体についても、これまでESPやTopDog、オールドフェンダーからSCHECTERへとメインベースの歴史がありますね。

SCHECTERにしてからもう6〜7年は経ちますね。自分のモデルを作ってからも5年経ってますし。

ー人時さんにずっとジャズベの印象を持っていたんですが、プレベに移行された経緯も伺えますか?

そうですね(笑) 元々、プレベに憧れがあったし、好きなんですよ。でも、当時は自分が思う理想の音が出せないでいたんです。ジャズベの方が扱いは繊細ですけど、繊細に扱えばそれに答えてくれる部分の良さもあって。JJの2ピックアップを良いマスキング具合で調整することが、僕の中で安心できる音創りでもありましたし。逆にプレベの場合は、ほぼプレベの音ですけど、僕の搭載してるピックアップはPPで、今はPの状態で音を出しているので実際とは少しだけ違います。そうすると1つの音しかないので、トーンを絞るとかはありますけど、繊細に扱ってもその音でしかないんです。もちろん、以前に比べると理想の音に近づけるようになってプレベにしているんですけど、まだ至っていないですね。

ーその”理想の音”はイメージではすでにあるものですか?

理想に掲げるという意味では、過去に1度だけ聴いた佐久間さんがプレベを弾いたときの音の太さがあるんです。あの音に今も近づけるようにとは思っていますね。

ーまた、プレベでは物理的なネックの太さ、5弦という部分においてもジャズベとの差はありますよね。

4弦に比べれば弾き辛さはありますけど、さすがに”5弦の人”になってきたと思うので(笑)今回のツアーからはスタイル的にもロック色を押し出すようにしていて。例えば見た目の印象においても少し下げて弾くとかね。

ー前回のインタビューでは「弾きやすくする為に上げて弾く」というニュアンスのことをお話頂きましたが、黒夢でのプレイではそれに当てはまらないと?

やっぱり、個人で動く分には弾きやすさを求めるのは変わらないですけど、黒夢でプレイするということにおいては同じくらい”エンタテイメント性”も重要ですから。常に「過去の自分よりもカッコよく魅せたい」という部分、「今がカッコよく在りたい」という部分が黒夢では強いですね。

ー確かにプレイや音も含め、黒夢でのソロ・パートでは、それが体現されていますよね。

エフェクター関連は、コンプ・シンセベース・ブレンダー・ディレイ・プリアンプ・ディストーションが2つで半分以上がソロ用のものですけど(笑)Markbassの歪みはどちらかと言うとCrunch寄りです。基本、Crunch音が好きなんですけど、試している中でクリーンな音の方がバンドで音が合わさる時の低音の質感が出やすいんです。ハードな曲や勢いのあるの曲、”ここぞ!”という時には、歪ませてますね。

ーベース・ソロでは、存分に発揮されていますね。

試行錯誤しながらですけどね。過去の自分の中でありえないのがコンプだと思います(笑)ここにきて、やっと重要性に気づいたんですよね。

-過去の自分達の栄光よりも、今の自分達が1番

ーその試行錯誤をBEFORE THE NEXT SLEEP VOL.1 『夢は鞭』で繰り返されたと思いますが、コンプのお話も然り、収穫も多くあったのでは?

そうですね、昨今数多くのライブをしているアーティストもいる中で、一般的には10本くらいがスタンダードになっていますよね。時代の流れもあるし、黒夢も過去に日本武道館だけやって間を空けていた時もあるし、毎回が本番であり真剣勝負をして、ライブが終わればゼロに戻るというね。今回のツアーで、まずVOL.1で25本くらい演ったことによるバンドのまとまるという再確認をしましたね。
ライブ中のMCでも話したんですけど、世の中的には80点を100%実現して、賞賛を得られることもあると思えていて、僕らはその80点のライブは要らないと思ってライブに臨んでいるんです。「点数よりも100%のプレイを出し切れるか」で演ってきたから、0点になるかも知れないし、100点を得られるかも知れない。

ーその繰り返しこそがツアーであり、進化にも繋がるという。

本当は良い話ではないですけど、真剣勝負をした結果が良くなかったら、次のライブは良くしようという思考が生まれてきますし。セットリストも直前まで決めていなくて、それは黒夢ならではの危険性というか(笑)演る側も常に新鮮な気持ちでいたいですしね。「80点を100%」っていう人達からしたら、要らないことかも知れないですけど、僕達には”黒夢の持つスリリングさ”において外せないことです。

ーBEFORE THE NEXT SLEEP VOL.2 『毒と華』でも、100%の真剣勝負を仕掛けるツアーになりますね。

全国を周るのが最後と銘打っているので、VOL.1同様ですけど黒夢が再始動して、今のコンディションやテンションで演れるライブは、数える程しか残っていないと思うんです。ましてや、今のパフォーマンスを10年後演れるかと言われると、今しか出来ないことを演っている以上、難しいと思います。全ての場所がそこでしか出来ないライブをしますし、過去の自分達の栄光よりも、今の自分達が1番だと思えるライブをしていきたいですね。


取材:2014.10.30
インタビュー・テキスト:Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330