『マッドゴッド』インタビュー&監督メッセージ映像を解禁

マッドゴッド

〈特殊効果の神〉フィル・ティペット監督作『マッドゴッド』が本日より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中、公開に先駆け、映画制作時の想いや作品について伺った。

マッドゴッド

Director Phil Tippett

「つねに自分の映画を撮りたいという夢は持ち続けていました。それまで私のスタジオで恐竜の作品など多くの短編は作ってきて、機材も揃ったので、監督作のタイミングが訪れたと悟ったのです。「撮らないと私の人生じゃない」という感覚でしたね。」と制作を始めた当時の心境を語る。 完成に至るまでのプロセスについては、「12ページの脚本が存在していましたが、すべてが曖昧な表現でもありました。数分の映像のためのストーリーボードも制作しました。ストーリーボードには少しだけアニメーションも使用しました。ただし当時のアイデアでは6分か、せいぜい10分くらいの長さの作品になっていたでしょう。その後、20年くらいの間、折に触れてスケッチをしたり、アイデアを頭から引き出したりしていました。私は小説はあまり読まないのですが、美術や科学にインスパイアを受け、それらを“消化”するように世界観を広げていった気がします。まぁ覚えていないことも多いですが(笑)。 」 とライフワークのようにコツコツと制作活動を続けていたことを明かしてくれた。 本作には、『2001年宇宙の旅』や『メトロポリス』、『イレイザー・ヘッド』など、さまざまな名作へのオマージュが感じられるが、特に思いを込めた作品や映画作家について伺うと、 「『キングコング』やレイ・ハリーハウゼン、カレル・ゼマン……と、どんどん出てきますが、私が尊敬の念とともに最も影響を受けたのは、F.W.ムルナウやフリッツ・ラングなどドイツ表現主義の映画ですね。基本的にサイレント映画が好きなんです。会話だらけの物語は私にとって逆に退屈なんです。だからムルナウの時代を愛してしまうのでしょう。 」 と意外にもサイレント映画だと語る。『マッドゴッド』も会話はほぼ皆無だが「音」への強いこだわりが感じられる点について伺うと、「音楽もこの作品を発動させた要素です。私が重視したのは、映像と密接に連動するスコアでした。流れる音楽のトーンから映像のイメージを作ろうとした部分もあります。その点で幸運だったのは、地元の作曲家、ダン・ウールとの出会いでした。かなり早い時期にダンが10分ほどのスコアを書き上げ、それが冒頭の巨大な城の映像に重ねられたりして、音楽は作品の素材になりました。音楽と映像の同時進行で、クラウドファンディング用の10分ほどの短編は完成したのです。そうした共同作業の後、サウンドデザインにリチャード・ベッグスが加わりました。『地獄の黙示録』でアカデミー賞音響賞を受賞した偉大な才能なので、これは奇跡でしたね。彼らとの仕事は2008年から、たしか2012年か2013年まで続いたと思います。 」 と強力なサポートのおかげで、劇中の音楽を元に生まれたシーンがあることも明かしてくれた。

さらにティペット監督から日本のファンに向けてメッセージが到着!
日本での公開を祝して、特別にフィル・ティペット監督から動画メッセージが到着!

「日本の皆さんこんにちは。『マッドゴッド』楽しんでくれることを願っています。ある意味で本作は日本の観客のために作られた作品です。本作は完成させるのに30年を要しました。90%ストップモーションの作品です。私はCGよりもストップモーションの方が好きです。ストップモーションはCGよりも職人の手仕事を感じられるからです。作品において私が注目しているポイントです。『マッドゴッド』の旅路は宗教的な幻のようでした。バッハやベートーヴェン、モーツァルトにどのように楽曲を作っているのか尋ねたならば、ただ 書き起こしただけだよと言うのではないでしょうか。神が教えてくれたんだと。私も同じような感じです。私が追い求めたのはビジョンだったのです。あわや自分が崩壊しかけました。でもその価値はありました。もう二度とやりませんけれど。『マッドゴッド』楽しんでください」とVサインで締めくくった。

マッドゴッド

監督:フィル・ティペット  出演:アレックス・コックス
2021年/アメリカ/84分/1.78:1/カラー/5.1ch/原題:MAD GOD/日本語字幕:高橋彩/PG12  ©2021 Tippett Studio
提供:キングレコード、ロングライド 配給:ロングライド 
公式サイト:https://longride.jp/mad-god/

関連NEWS

  1. 『ザ・ウォッチャーズ』ホラー大好き声優 下野紘が”ポツンと佇む変な部屋”の”禁断のルール”を解説する特別映像&場面写真解禁

  2. アメリカン・ユートピア

    デイヴィッド・バーン×スパイク・リー「アメリカン・ユートピア」<Once In A Lifetime>演奏シーン解禁

  3. ワン・プラス・ワン

    ジャン=リュック・ゴダール × ザ・ローリング・ストーンズ 『ワン・プラス・ワン』 高橋幸宏さんら寄稿、豪華レコードデザインのパンフレット発売決定

  4. 映画『あんのこと』稲垣吾郎 新規場面写真&メイキング写真解禁

  5. π〈パイ〉デジタルリマスター

    A24×ダーレン・アロノフスキー監督『π〈パイ〉 デジタルリマスター』 3.14(木/円周率)公開、著名人よりコメントが到着

  6. アルピニスト

    映画『アルピニスト』天才クライマー、マークとともに 危険なクライミングを追体験

  7. Miles Davis

    映画『マイルス・デイヴィス クールの誕生』、9月に日本公開が決定

  8. ボーンズ アンド オール

    『ボーンズ アンド オール』ティモシー・シャラメ&マーク・ライランス絶賛!ヴェネツィア国際映画祭《新人俳優賞》を受賞した全世界注目の女優テイラー・ラッセル演じるヒロイン、マレンに迫る特別映像解禁

  9. ソフト/クワイエット

    『ソフト/クワイエット』息詰まる緊迫感満載の本編映像を解禁

  10. ザ・ウォッチャーズ

    『ザ・ウォッチャーズ』”禁断の3つのルール”が明らかに―ガラス貼りの部屋で“監視”される日本版ポスター到着

  11. 『ソフト/クワイエット』イラストポスター解禁、コメントも到着

  12. 青いカフタンの仕立て屋

    『青いカフタンの仕立て屋』世界が注目!マリヤム・トゥザニ監督インタビュー

  13. 東京2020オリンピック

    『東京2020オリンピックSIDE:A/SIDE:B』ロッテルダム国際映画祭に2作品同時選出

  14. 地下室のヘンな穴

    『地下室のヘンな穴』フランスの至宝の珍境地(?)クセ強演技に爆笑!本編映像&場面写真解禁

  15. The Beatles

    The Beatles、ルーフトップ・コンサートが全米のIMAXシアターで劇場上映されることが決定

  1. マキシマム ザ ホルモン

    マキシマム ザ ホルモン、生田斗真出演の 「殺意vs殺意(共犯:生田…

    2024.06.28

  2. JUN SKY WALKER(S)

    JUN SKY WALKER(S)、初の対バンツアー第二弾にjealkb、THE BAWDIES…

    2024.06.28

  3. The Beatles

    The Beatles、6月29日のビートルズの日を記念してピンズカプセルの…

    2024.06.28

  4. ピーター・バラカンが監修する音楽フェスティヴァル「Peter Barakan…

    2024.06.28

  5. Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN

    Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2024、第三弾アーティストを発表

    2024.06.28

  6. 野田洋次郎

    野田洋次郎ソロ名義初のフルアルバム「WONDER BOY’S AKUMU CL…

    2024.06.28

  7. THE ORAL CIGARETTES主催「PARASITE DEJAVU 2024」DAY2第四弾出演者…

    2024.06.28

  8. Scooter Braun

    Scooter Braun、マネージメント業から引退することを発表

    2024.06.28

  9. 日本劇場初公開『チルドレン・オブ・ザ・コーン<4K>』公開決定

    2024.06.28

  10. 上田ケンジと上原子友康(怒髪天)のユニット「MOIL&POLOSSA」 9年ぶ…

    2024.06.28

  1. オハラ☆ブレイク

    オハラ☆ブレイク’24 愛でぬりつぶせ 開催決定!

    2024.06.26

  2. ASAGIRI JAM ’24、第1弾ラインナップ発表

    2024.06.24

  3. 山人音楽祭

    山人音楽祭2024、第四弾出演アーティスト発表

    2024.06.14

  4. JOIN ALIVE 2024、ステージ別ラインナップ & タイムテーブル発…

    2024.06.06

  5. 「Slow LIVE」第二弾出演者発表!金沢・軽井沢公演もあわせて解禁

    2024.05.31

  6. RISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZO、追加アクト『WEEKEND LOVER…

    2024.05.31

  7. SUMMER SONIC 2024、第7弾追加アーティストを発表

    2024.05.23