ザ・フーは今年北米で行われるフェアウェル・ツアーの詳細が発表されている。
ザ・フーのフロントマンであるロジャー・ダルトリーとギタリストのピート・タウンゼントは現地時間5月8日にロンドンのピカデリーにあるアイコニック・イメージズ・ギャラリーで記者会見を開いており、このツアーを発表している。発表では今回のツアーは輝かしい60年に及ぶキャリアを締めくくるものとされている。
1971年発表の『フーズ・ネクスト』に収録の“The Song is Over”にちなんでツアーは「ザ・ソング・イズ・オーヴァー・ノース・アメリカ・フェアウェル・ツアー」と名付けられている。記者会見ではアメリカにまつわるザ・フーの貴重な品々も展示されており、1974年発表のアルバム『オッズ&ソッズ』のジャケットに登場するアメリカン・フットボールのヘルメットも展示されていた。
16公演に及ぶツアーは8月16日にフロリダのアメラント・バック・アリーナで開催される公演から始まり、9月28日にラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで開催される公演で締めくくられる。
ツアー日程は以下の通り。
AUGUST
16 – Sunrise, FL – Amerant Bank Arena
19 – Newark, NJ – Prudential Center
21 – Philadelphia, PA – Wells Fargo Center
23 – Atlantic City, NJ – Jim Whelan Boardwalk Hall
26 – Boston, MA – Fenway Park
28 – Wantagh, NY – Northwell at Jones Beach Theater
30 – New York, NY – Madison Square Garden
SEPTEMBER
2 – Toronto, ON – Budweiser Stage
4 – Toronto, ON – Budweiser Stage
7 – Chicago, IL – United Center
17 – Los Angeles, CA – Hollywood Bowl
19 – Los Angeles, CA – Hollywood Bowl
21 – Mountain View, CA – Shoreline Amphitheatre
23 – Vancouver, BC – Rogers Arena
25 – Seattle, WA – Climate Pledge Arena
28 – Las Vegas, NV – MGM Grand Garden Arena
「2025年の『ザ・ソング・イズ・オーヴァー』ツアーは歴史的なもので、北米のザ・フーのファンたちと時代を超えた繋がりを対面で祝う最後の機会になります。ノスタルジアを捨て、本物のロックの瞬間を何度も届けてきたバンドの能力をずっとみなさんは評価してきてくれました」とツアーの説明文には記されている。
「60年代前半のミュージシャンは誰もがアメリカのチャートで大成功を収めることを夢見ていました。ザ・フーで言えば、その夢は1967年に現実となり、私たちの人生は永遠に変わることとなりました」とロジャー・ダルトリーは語っている。「長年に及ぶアメリカの観客のあたたかさは自分にとってインスピレーションとなり、初めてロックのレコードをラジオで聴いた瞬間の観客を思い出させてくれます。それは音楽という自由でした。ロックは私たちの世代に反抗の感覚を与えてくれました。私にとってアメリカはずっと偉大な存在でした」
「文化の違いが自分には大きなインパクトを与えました。そこは可能性の国でした。ザ・フーとしてツアーをしてきた人生の大きなパートを終わらせることは簡単なことではありませんでした。来てくれると有り難いですし、最後に会えることを楽しみにしています」とピート・タウンゼントは語っている。「すべての良いものには終わりが来ます。つらいことですが、アメリカやカナダの観客に演奏するのはいつも素晴らしい体験でした。そうした観客との繋がりは1967年から始まったもので、当時はヒッピーがマリファナを吸い、毛布を被って座り、深く耳を傾けていました。音楽はどこでも通用するもので、みんな一緒だと感じました」
「今はロジャーと私が亡くなったキース・ムーンやジョン・エントウィッスルや長年のファンを代表して、ザ・フーという旗を掲げています。その道中は常に楽しいというわけにはいきませんでしたが、自分にできる最高の仕事でした。何度も戻ってくる度に新しいファンや新しいエネルギーに出会いました」
ピート・タウンゼントは次のように続けている。「ロジャーと私は年齢にもかかわらず、いい状態にあり、熱心なファンのために、そして願わくば、この57年間見逃してきたものを見るために飛び込んでくる新しいファンのために、この愛すべき別れに全力を注ぎたいと思っています。このツアーは素晴らしい思い出と愛と笑いに満ちたものになるでしょう。ぜひ参加してください」
先日、ピート・タウンゼントはドラマーのザック・スターキーについてバンドから離脱することはないと否定している。
リンゴ・スターの息子で、1996年からザ・フーのドラマーを務めてきたザック・スターキーについては「ロイヤル・アルバート・ホールでの一連の公演」を受けて「袂を分かつという集団での決定」に至ったと報じられていた。
ピート・タウンゼントはザ・フーのウェブサイトに長文を掲載して、状況について説明している。「個人的なことやプライベートなことでコミュニケーションの問題があって、それに対処する必要があったんだけど、幸いにも解決した」
ピート・タウンゼントは公演中にザック・スターキーに「いくつかミスはあった」ものの、彼は謝罪してくれたと述べている。「終わったんだ。楽観性と野心と共にこれからも続けていくよ」